無謀だった頃のお話 その2
お散歩中に初めて入ったバイクやさんで
「買わせてください!」「売ってください!」
と、アフロおじさんの反対を押し切り
SRXとAraiのヘルメットを注文してもらうことに成功した私は
その時点で気分はライダーになりました。
(免許ないくせに)
ありがたいことに、自動車学校は歩いて行けるところにあるし
サッサと免許とって、早く乗ろう~っと甘い考えで
いよいよ教習所へ。
数人の男子の中に、156cm、40㎏の小柄な女子1人混じっているので
教官は「本当に取るのか?」と聞いてきました。
「はい!バイクもヘルメットももう買いましたから^^」
と言うと、教官はドリフターズの「だめだこりゃ」の顔になりました。
その顔のまま、私は教官のバイクの後ろに乗せられ、ポールがいくつか立っている所まで連れて行かれ、
「いいか!今から俺と一緒の方向に体倒せよ!」
と言われ、いきなり思いっきりバイクを倒しながらポールの間を通ったんです。もう絶対転ぶというくらいまで倒してからまた戻るの繰り返し。
その辺のアトラクションよりこわい!
教官と一緒に思いっきり体倒しながら、初めて会った50歳か60歳かわからないオジサンとバイクと私が一体化してるぞーと感動していました。
教官が私に怖さを教えたかったのか、楽しさを教えたかったのか、元白バイに乗っていたテクニックを自慢したかったのかはわからなかったので
「すごかったです!怖かったけど、たのしかったです!」
と、どんな理由にでも当てはまる答えをしたのを覚えています。
お荷物になるのが予想できた教習生は
一発で400ccのバイクを起こせたものの、スタンドがかけらず・・・・。
坂道発進では転びそうになりながら下がっていき、スラローム(ポールの間通るやつ)では、思いっきりバイクを倒し、教習用バイクのタンクをへこませるという期待通りの展開を見せました。
その中でも一番の苦手が一本橋。
幅30cm、高さ5cm、長さ15mの上をゆっくり進むやつ。
何度やっても絶対落ちるのです。
最初から終着点の方を見ろと教えられ、それをやったらできるはずと
簡単に自信をつけ、いざチャレンジした日。
終着点見続けながら、ゆっくりゆっくり気持ちいいくらい安定して走れてるじゃありませんか!全く段差も気にならない安定感!
「あははは~~」と大喜びしながら走っていると
「おーーーーーい!斉藤!!橋の横走るな!!」と・・・・。
「え?」
私、一本橋に乗ってませんでした・・・・。
最初から一回も橋に乗らずに、橋の横の平坦な道、ゆっくり走っていただけでした・・・・。気持ちよかったけど・・・・・。
そんな私でも迎えることができた卒検の日。
たくさんの迷惑をかけながら、迎えた日でした。
いつも教習所の帰りにアフロおじさんのお店に寄り
そこに集まっているお兄さん方の仲間にしていただき
免許が取れたら、一緒に乗ろうと応援してもらいながら迎えた日。
卒検の合格者が呼ばれました。
みんな次々に呼ばれるのに、私…呼ばれない。
今日ムリなのかな~(取れるまで行くつもりなので)
と、思っていたら呼ばれましたよ!
教官のオジサンが手招きしてます。
笑顔で走っていったら、なんか深刻そうな顔で私の肩を抱きました。
「斉藤・・・俺と一つ約束できるか?」
「なにをですか?」
「一つだけ約束してくれたら、今日卒検を受からせてやれるんだ」
その後の言葉は、きっと一生忘れないと思うくらい衝撃的な言葉でした。
「バイクで公道を走らないことを約束してほしい・・・・」
「わかりました!絶対走りません!約束します!」
こうして、無事自動二輪中型免許を取得した私は、
教官との約束をきれいに忘れ、その日にライダー兄さん3人とツーリングに行きました。
付き合っていた彼(今の旦那さん)には、内緒で免許を取り、バイクも購入し、バレて怒られ、説得し、しばらく乗りましたが
結婚を決めた時に手放しました。
最近たまに、馬に乗ってみたい衝動にかられますが、おとなしくしてようと思います。
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