まだまだだな~と思った日
先日
生まれて初めて1人で映画を観に行きました。
57歳になってもまだまだ初めてのことはたくさんあるようです。
以前もブログに書いたことがあるのですが、
昨年亡くなった父と私の思い出の映画『風と共に去りぬ』。
私が小6の頃にTVで放送され、父の薦めで一緒に見ました。
それがなんたって4時間近い映画。
TVでは2週にわたって放映だったと思います。
12歳だった私は時代背景もよくわからないまま、主役のスカーレット・オハラのコルセットで締め上げたウエストや片側だけ上がっている眉や、決して弱音を吐かない気丈さに憧れました。
この右側の眉だけを上げる練習を鏡の前で何度練習したことか。
どうにか完璧にできるようになり満足した頃、右側の眉だけが上がったところで他の部位の大きさも形もバランスも違うのでこの顔にはなれないことに気がついた12歳の冬。
ピッと眉毛をあげた自分の顔は惜しい所までいった『福わらい』にしか見えませんでした。
その後、練習しすぎて変な癖みたいになった『眉毛上げ』を元に戻すのに苦労したものです。
そんな思い出いっぱいの映画が映画館で2週間だけ上映されるということを知り、是非大きなスクリーンで観たい!大音響であの曲を聴いてみたい!と思い、行くことを決定。
普段は車で移動するのですが、なんとなくその日は気分で電車に乗りました。
映画館について初めて1人でチケットを購入。
長い映画の途中でトイレに行きたくなるかもと思い後方の席を選びました。
私の席は『Iの3番』
たしか後ろから2番目の奥から3番目の所だったはず。
まだ場内は明るいので来ている方々のお顔も見えます。
やはり年配の方が多く、ご夫婦でいらしている方も多いみたい。
3割程度の席がうまっている感じ。
なんたって私、その日は生まれて初めてのお一人様映画館ということで、ちょっと嬉しいような恥ずかしいようなミョーな気持ちになってまして、
誰も見てないし、誰もそんなことも知らないのに、
「私、1人で映画もちょくちょく観るんですよ~」
って慣れた感じに見せたい気持ちになったわけです。
これが見栄というやつですね!
普段、誰にどう思われようが全くなんにも思わないのに、まさかここでこんな気持ちになるとは自分でもビックリ。
初めて『suica』使った時もこんな感じになったのを思い出しました。
多くの人が普通にしていることを初めてと思われるのが恥ずかしいのかも。
そんなわけで,慣れた感じを装って、スマートに自分の席に座ろうとしたその時です。
あれ?
おかしい・・・・・。
『Iの3番』に座っているご婦人がいらっしゃる・・・・。
もう一度チケット確認してっと。
やっぱり私
『Iの3番』でまちがいないです。
どうしよう・・・・・・。
70代後半ぐらいの女性は私の視線も感じないほどリラックスして座ってらっしゃるし・・・・。
もしかして、『Iの3番』をあなたと私の2人が購入?
上映時間前にこの件はちゃんとしなきゃと焦り始めました。
「あの、すみません。私の席が『Iの3番』になっているんですけど、もしかしたら席をお間違えじゃないですか?」
と微笑みながら話かけてみました。
「あら~そうですか~。私の席はきっとそちらの席なのね~」
と、お隣の席を見ながら品よく微笑んだご婦人は全く動く気なしの様子。
そして、
「誰も来ないと思うから大丈夫よ~。あなたもこちらに座ってて大丈夫だと思いますよ~」
と、私に『Iの2番』の席を勧めてきました。
完璧に私の席から動く気はないようなので、席の交換なら問題ないかとあきらめて、私も言われるままに座ったのですが。
数分後パラパラと人が入ってきて、しかも同じ列に座る人も出始めました。
私の席に座っている女性のチケットも私は全く見てないし、彼女も全く確認する気もないし、本当に『Iの2番』が彼女の席なのかも怪しい。
「なんでも好きなことをしなさい。好きなように生きなさい。ただ人にだけは迷惑をかけないようにしなさい。」
これだけが、私の両親から言われ続けたこと。
もし、彼女が『Iの2番』じゃなかったら私まで人に迷惑をかけることになってしまう。
私「まだこの後も何人かいらっしゃるかもしれませんね~。やっぱり私達自分の席に座っておいた方がよくないですか?後で動くことになったら面倒ですし」
と言ってみたら
「そうね~。じゃあそうしましょうか~。」
と言ってやっと動いてくれたのはいいのですが、
私が『Iの3番』に座った後、彼女が座った席は
『Iの1番』でした・・・・・・。
「私、たぶんこの席だと思うの」って。
2番じゃなかったのかい!
その後、2番には誰も来ず、1番と3番は上映2時間後の休憩時間に
「やっぱりきれいね~」
「大きなスクリーンで観るの初めてなのでうれしいです」
「そうなの~私は3回目よ~」
とお話をして楽しく過ごしてきました。
私も自分ではずいぶんいい加減だとは思って生きてきましたが、まだまだ上がいることを学んだ初めての一人映画でした。
このブログへのコメントは muragonにログインするか、
SNSアカウントを使用してください。